市販のカラーコンタクトレンズの問題点について
葉桜になり、新緑の美しい季節となりました。桜のあとのこの黄緑色でつやつやした新芽が樹々に出てきているのをみると、生命力の強さを感じます。
新しい力が湧いてくる気がしますね~。はる眼科クリニックだけに、春はとっても好きです!
さて、うってかわって…
新生活のスタートに合わせて、年度末にコンタクトレンズを注文をされに来る方々の中に、
気になる患者さんたちがいらっしゃいました。
表題のあるような、通販サイトや量販店で購入した「市販のカラーコンタクトレンズ」を装用している方たちです。
みなさん、ほんとうに同じようなトラブルを抱えていて、さらに花粉症の時期も相まって症状が悪化して慌てて来院された様子でした。
「どういう商品か?」「装用方法は間違っていないか?」ということを気を付けることはとても大事なこと。
自分の眼は一生に一つ、決して交換できません。
若いからまだ大丈夫でも、その眼と一生お付き合いしていく中で、いつかその時期を後悔する日が来ると思います。
はる眼科クリニックでは、いらした方に以下の内容をパンフレットにしてお渡しすることにしました。
みなさまの周囲にこの「市販カラコン」装用者がいるようでしたら、ぜひお声をかけてくださいね!
市販のカラーコンタクトレンズ装用の問題点について
カラーコンタクトレンズをつけると、手軽に違う自分になれます。
そして、現在、通販サイトや量販店などで眼科医の処方なしにカラーコンタクトレンズを購入してしまうことができます。
しかし、「みんながしているから大丈夫だと思っていた」「CMで見たことがあるのでいいのかと思っていた」と、その危険性をほとんどのユーザーが理解していません。
「いつも目が赤かったけれども、無理につけていた」など、あきらかに症状は自覚しているのにやめられず、
「激痛で目が開けられない」となるまで使用し続け、ようやく眼科を受診されるケースも多くみられ、その後に失明につながるような眼の病気になる例が後を絶ちません。
みなさんは、このような発表が国民生活センターであったのをご存知でしょうか。
“市販のカラーコンタクトレンズ16商品を10人が8時間装着し、目への影響を実験。
15商品で、一部に角膜の傷やむくみなど治療や使用中止が必要な程度の重い障害が発生した。着色剤の影響で角膜や結膜を傷つけたり、酸素が透過しにくい素材だったりするためとみられる。さらに、度なしの1商品を加えた17商品の着色状況などを調査。レンズ表面を着色していた11商品のうち9商品が「着色はレンズ内部」と事実と違う表示をしていた。洗浄で色落ちするものもあった。”
⚠酸素透過性が低いことが!
NITE(製品評価基盤機構)の公表した調査結果では、平成17年10月から18年2月までに全国で167人の眼障害が報告され、うち21人は失明の恐れがある重症例だったことがわかりました。
大気の酸素濃度は21%。酸素透過性の良い通常のレンズでも、角膜表面の酸素は富士山頂と同程度の15%に低下します。従来、カラーコンタクトレンズに多かったHEMAという素材のレンズではエベレストの頂上度の8%。着色により透過性はさらに低くなります。非常に危険です。
酸素が不足すると角膜上皮がはがれ落ち、細菌感染などが起きやすくなります。
レンズ内面にプリントした製品では色素が角膜に直接触れて上皮障害を引き起こし、低品質のレンズは表面処理や厚さが不均一なため角膜障害の原因となるのです。
現在、上記のような酸素透過性の危険性にについて、平成21年11月4日より、市販のカラコンについても、視力補正用コンタクトレンズと同じように高度管理医療機器として医薬品医療機器法の規制対象となりました。
これに伴い、カラコンの製造・輸入にあたっては厚生労働大臣の承認が、販売にあたっては都道府県知事の販売業の許可、販売管理者の設置が義務づけられています。
また、この規制により、通販サイトや量販店でも「高度管理医療機器」として認可されたカラコンが増えてきました。
ただ、そうではない個人輸入のものなども多くありますので、きちんとこの「高度管理医療機器」の承認番号があるかどうかをご確認ください!
またさらにNITEは眼障害の原因として、
①手入れ不良 25%
②長時間使用 10%
③使用方法を理解できていない 10%
などの、ユーザー側のあきからな間違った使い方によるものがもっとも危険であるということがあきらかになりました。
通常のコンタクトレンズでさえ適正な使用をしていてもリスクを伴います。正しい知識のないまま市販のカラーコンタクトレンズを装用し続けると、そのうえ更なる危険に曝されることになるのです。
⚠コンタクトレンズは「高度管理医療機器」です!
コンタクトレンズの装用は、副作用や機能障害が生じた場合のリスクが非常に高いので、きちんとした医師の管理のもとに装用すべきものであると薬事法(2005年改正)に定められています。
厚生労働省の承認を受けた商品には、箱に「高度管理医療機器」の記載があるので確認しましょう。
*画像は医療機器総合機構HP「カラコン適正使用パンフレット」より抜粋いたしました。